仮想通貨のICO会計処理

すでにお知らせした通り、日本における仮想通貨の会計処理については、企業会計基準委員会(ASBJ)より、「実務対応報告公開草案第 53 号 資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」が公表されています。 他方で、この公開草案には、ICOの取り扱いについては含まれていません。
さらに、米国基準や国際財務報告基準(IFRS)においては、仮想通貨そのものの会計上の取り扱いも決まっていないのが現状です。

そんな中、1月15日に株式会社メタップス(メタップス)が第1四半期の決算発表を行いました。

メタップス社は、韓国子会社であるMetaps Plus Inc.(Metaps Plus) は、2017 年9 月26 日から 2017 年10 月10 日を販売期間として、Initial Coin Offering(ICO)を実施していました。PlusCoin(PLC)ですね。
このICOをどのように会計処理をするのか、という点について、注目されていました。特にメタップスはその会計基準がIFRSですので、どのような処理を行うべきかについての調整も難航したことが予想されます。このためだと思いますが、決算発表の一環として、「(開示事項の経過)当社連結子会社の ICO に伴う会計処理について 」が開示されており、同社の会計処理について、詳細な開示がされています。

    本第1四半期でメタップスが公表した財務諸表においては、ICOの会計処理としては、以下のようになっています。

  • 本 ICO において受領した対価は収益として認識する。
  • 但し、収益認識の方法やタイミングについては引き続き協議中。
  • 本四半期においては、監査法人との協議の結果、受領した対価の全額を負債(前受金)として計上する。
  • ICOに関する費用は費用として計上

また、ICOにより得た仮想通貨(イーサリウム等)は、四半期末時点の公正価値評価を行わず、取得原価をもって無形資産または棚卸資産として計上するようです。したがって、原則として売却時に損益が計上されることとなります。ただし、仮に仮想通貨の処分見込価額が取得原価を相当程度下回った場合は該当会計期間において差額を費用として認識されます。

また、自己保有のPLCについては、帳簿価額0円で無形資産又は棚卸資産として計上するとのことです。

もちろんまだ定まっていない会計処理かつ四半期決算そして監査法人のレビューも終わっていない段階なので、会計処理が変更となる可能性もあるかとは思います。 ただ、公表されている資料を見る限り、個人的には、ICO及び保有仮想通貨の会計処理とも、違和感の残る会計処理かな、とは思います。

同社の会計処理についても、今後の動向に注目していきたいと思います。