~フェイスブック5億円の申告漏れ~

2019年8月29日付の新聞各紙の報道によると、フェイスブックの日本法人が国税当局から5億円の申告漏れを指摘されたとのことです。2017年12月期までの2年間での追徴税額は、1億数千万円とのことです。

新聞報道によると、日本法人はアイルランド法人の業務を支援した対価として、経費に数%が上乗せされた報酬を受け取っていたものの、東京国税局は税務調査で、日本法人の報酬は広告料に連動させるべきだと指摘し、申告漏れにあたると判断したとみられるとのことです。

これに先立つ1月には、グーグルの日本法人が2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘されているとの報道もありました。

こちらも新聞報道によると、グーグルの日本法人はシンガポール法人の業務を支援する形で、日本国内の広告主への営業活動を行っているものの、グーグル日本法人は経費に8%が上乗せされた金額を報酬としてシンガポール法人から受け取っていたとのことです。東京国税局は、グーグル日本法人への報酬が広告料に連動していないと指摘したとされているとのことです。

海外のグループ会社との取引にあたっては、いわゆる「移転価格税制」が適用されることとなりますが、新聞報道によると、どちらの日本法人も、移転価格の算定方法として、日本法人でかかった経費に一定の割合の利益を上乗せして海外のグループ会社に請求する、いわゆる「コスト・プラス」方式での売上計上を行っていたと思われます。

「コスト・プラス」方式での売上計上は違法なものではなく、売上計上の手法としては一般的に使われている手段です。 たとえばOECDのBEPS最終報告においても、低付加価値グループ内役務提供に対しては、総原価(コスト)に5%のマークアップを加えた(プラス)金額をもって独立企業間価格とする簡易な算定方法が提言されており、日本でも導入されています。

ただし、どんな時でもコスト・プラス方式での売上が認められるわけではなく、適切な移転価格の算定方法を定める必要があります。 

どのような移転価格の算定方法が最も適切か、という判断は非常に複雑難解で、議論のあるところなので、グーグルもフェイスブックも国税当局との議論が白熱したであろうことが推測されます。

特にGAFAに代表される巨大IT企業は比較的高い税率の国では、コスト・プラス方式をとっていることが多いため、日本におけるこの課税が世界各国での課税方針にも影響を与えるかもしれませんね。また、日本でも他のIT企業等でコスト・プラス方式をとっている企業で国税当局が注目している可能性も高いと思われます。

今後の国際税務に関する報道にもまだまだ注目が集まるかもしれません。