国税局、豪州当局と協力し徴収共助。国境をまたぐ滞納への警鐘

毎日新聞等によると、日本に住む親から10億円以上の贈与を受けたオーストラリア在住のオーストラリア人男性から、滞納贈与税(延滞税等を含む)8億円を徴収したとのことです。

これは、税務行政執行共助条約に基づく徴収で、日本の税務当局がオーストラリアの税務当局に対して、代理で徴収をすることを要請し、オーストラリア税務当局が、日本の国税庁が提供した滞納者の資産などの情報を元に男性の預金を差し押さえ、全額を日本に送金したとのことです。

税務行政執行共助条約は、この条約を締結した国の間で、租税に関する以下の行政支援を相互に行うための多数国間条約です。

  1. 情報交換: 締約国間で、租税に関する情報を相互に交換することができます。
  2. 徴収共助: 租税の滞納者の資産が他の締約国にある場合、他の締約国にその租税の徴収を依頼することができます。
  3. 送達共助: 租税に関する文書の名宛人が他の締約国にいる場合、他の締約国にその文書の送達を依頼することができます。

このように、税務行政執行共助条約のもとで、国際的な脱税及び租税回避行為に適切に対処していくことが可能とする仕組みです。

日本は、2018年8月1日現在53か国と締結しておりますが、報道によると、日本はこれまでにも何度かこの条約を適用した共助の要請による徴収を行っている他、外国からの要請にも応じた例もあるようです。

日本の脱税額が移住先で徴収される。脱税防止に関する国際間の協力がより強まったことが感じられるニュースですね。