英国のEU離脱(Brexit)

英国のEUからの離脱の交渉期限が2019年3月に近づいてきました。仮に離脱交渉期限までに、新たな協定が締結できなければ、英国とEUの課税関係については、国際的な原則どおりの取り扱いとなります。これは、欧州域内において特別な取り扱いが行われている関税及び付加価値税(VAT)についても、同様となります。

2018年9月11日に、欧州委員会(EC)は、「NOTICE TO STAKEHOLDERS WITHDRAWAL OF THE UNITED KINGDOM AND EU RULES IN THE FIELD OF VAT」という文書を公開し、新たな協定が締結されなかった場合のVATの取り扱いを公表しました。

この文書によると、英国の欧州離脱後は、英国は欧州域外の第三国と同じ取り扱いとなり、以下のような取り扱いとなるとしています。

  1. 物品の取引
  2. 英国とEU加盟国間の物品に関する取引は、第三国との取引と同様、税関においてそれぞれ輸入手続き及び輸出手続きが行われることとなります。輸入時には原則としてEU加盟国のVATが課税されることとなります。 他方、輸出時には第三国への輸出となりますので、VATは免税となります。
    ただし、英国離脱前日までは欧州域内取引が適用されますので、適用要件となる証拠書類の保存が必要となります。

  3. サービス取引
  4. 通常のサービス取引については、特段の変更はないと思われます。 他方、デジタル取引に関するミニワンストップショップ(MOSS)を使用している場合については、留意が必要です。 MOSSでの申告に英国を選択している場合はもとより、申告の対象として英国を含んでいる場合にも、対応が必要となってきます。
    また、英国離脱前日までは英国もMOSSの範囲に含まれますので、証拠書類等の保存は必要となります。 他方、MOSSでの申告に英国を選択している場合には、英国離脱後には他のEU加盟国を選択する必要があります。

  5. VAT還付
  6. VATの還付についても、EU加盟国の法人は、法人の設立国の税務当局を経由して各加盟国に対してVATの還付請求を行っています。英国の離脱後は、英国法人がEU加盟国のVATの還付請求を行うためには、各国の税務当局に対して直接還付請求を行う必要上がります。 他方、EU加盟国も同様に英国のVATの還付請求を行う際には、英国の税務当局に対して直接還付請求を行うこととなります。

上記の他に、三角取引の特別規定を適用している場合等、欧州において英国を含めた複雑な取引を行っている場合には、離脱に伴い、さらに複雑な課税関係が発生する可能性があると思います。

なお、上記は、あくまで新たな協定が締結されなかった場合の取り扱いであり、今後の英国とEUの離脱交渉次第では、課税関係にも変化があるかと思います。
今後も、この点については注目していきたいと思います。